献立が思い浮かばない、同じ食材を重複購入してしまう、気づけば野菜をダメにしてしまう——その多くは「冷蔵庫が在庫棚になっていない」ことが原因です。見栄えよりも配置ルールと更新手順。この記事では、誰でも今日からできる一軍/二軍のゾーニングと、“前出し(FIFO)”運用、日次・週次のチェック、買い物テンプレまでを実務目線でまとめます。
基本設計:3ゾーン×トレー運用
- 上段=「一軍」即食ゾーン:今日〜2日で使うもの(作り置き、開封済みパック、弁当用おかず)。浅いトレーにまとめ、手前に短命、奥に長命を置く。
- 中段=「二軍」調理素材ゾーン:未開封の豆腐・納豆、ベーコン、チーズ、カット前の野菜など。A4ハーフ程度の角形トレーを2つ並べ、左=たんぱく、右=野菜で固定。
- 下段(引き出し含む)=生鮮・野菜室:汁漏れしやすい肉・魚は必ず受け皿に載せる。野菜は袋の口を軽く閉じ、葉物は立てる/根菜は新聞で包むと持ちが良い。
ドアポケットは温度変動が大きいので、調味料・ドリンク中心に。開封済みの牛乳・ジュースは早めに消費する前提で置くのが安全です。
ラベルと言語化:見れば分かる仕組みに
- ボックス名:「一軍」「二軍-たんぱく」「二軍-野菜」「朝ごはん」「おやつ」「調味下地」など。日本語2〜3語で大きめ表示。
- 期限タグ:マスキングテープに入庫日(到着日)だけ記入。賞味期限ではなく「入った日」で回転を管理。
- 色分け:赤=今日中、黄=2日以内、緑=余裕あり。迷ったら黄に貼り替える(進捗が見える)。
“前出し”運用(FIFO)の型:毎日30秒のルール
- 帰宅→買ってきた物は奥、既存の在庫は手前へスライド。
- 開封したら一軍へ格上げして期限タグを貼り替え。
- 夜ごはん直前に一軍を3点チェック(早く使う順に左から並べ替え)。
容器とトレー:角形・透明・浅めが勝ち
- 角形・透明容器:中身が一目で分かる=献立が速く決まる。浅型(400〜700ml)を主体に、深型はスープ用だけ。
- 受け皿&浅トレー:生肉・生魚の下に必須。庫内汚れの拡散を防ぎ、拭き掃除が1分で終わる。
- 立てられる野菜スタンド:ペットボトルの空箱や仕切りで葉物を立てると、忘れにくく取り出しやすい。
作り置きより“下味冷凍”で詰まりを回避
作り置きは便利ですが、食べ切るまで献立が固定されがち。生鮮→下味冷凍→必要量だけ解凍に切り替えると、消費の自由度が上がります。鶏もも+塩こうじ/豚こま+しょうが/鮭+味噌ヨーグルトなど、味のベースだけ付けて薄く平らに。使う時はフライパンで蒸し焼き→野菜を足して完成。二軍の滞留が一気に減ります。
日次・週次の運用テンプレ
日次(帰宅〜就寝まで合計3分)
- ①買ってきた物は奥、既存在庫は手前へ。
- ②開封した物は一軍トレーに集約(入庫日タグを貼り替え)。
- ③夜ごはん前に一軍を見て“使い切り候補3品”を決める(例:豆腐・しめじ・ベーコン)。
週次(15分でリセット)
- 棚を1段だけ出して中性洗剤orアルコールシートで拭く(全部やらない)。
- 期限タグが赤のものは、その週の献立に強制編入(味噌汁、炒め物、丼に吸収)。
- 空容器・空き瓶・同じ調味料の重複を整理(詰め替えは無理にしない)。
「在庫 → 献立 → 買い物」の順に考える(テンプレ付)
- 在庫確認:一軍から3品、二軍から2品をピックアップ(例:作り置き少量/豆腐/卵/葉物/きのこ)。
- 献立化:丼・炒め・汁物の3枠に当てはめるだけ(例:豆腐チゲ風スープ/豚こま野菜炒め/ツナトマト丼)。
- 買い物:不足分を「たんぱく・色もの・主食」で埋める。買い足しは3〜5点に抑えるのが継続のコツ。
よくある詰まりと回避策
- 小瓶の渋滞:ドアポケットに「使用中のみ」ボックスを作り、新規はここに入る枠が空いたら購入。
- 作り置きの食べ忘れ:透明容器+一軍固定。見えない物は食べないを前提に。
- 家族が勝手に配置:「一軍」「二軍」のラベルを大きく。触ってほしくない段には紙で注意書き。
- 汁漏れ事故:受け皿運用を徹底。万一の時はその段だけを外して洗う→他段の二次汚染を防ぐ。
安全と衛生の基本(むずかしいことはしない)
- 生肉・生魚は最下段で受け皿に。野菜・作り置きと物理的に分離。
- 清掃は薄めた中性洗剤orアルコールシートで。庫内は電源を入れたまま短時間で行う(温度上昇を避ける)。
- 解凍は冷蔵庫内で計画的に。常温置きっぱなしを避ける。
チェックリスト(冷蔵庫の扉裏に貼る)
- □ 一軍(上段)=開封&2日以内/二軍(中段)=未開封・素材
- □ 期限タグ=入庫日記入/赤・黄・緑で優先度表示
- □ 帰宅時は奥入れ→手前スライドで前出し
- □ 生肉・魚は受け皿/汁漏れ防止
- □ 週1で段を1つだけ拭く(全部やらない)
- □ 買い物前に“一軍3・二軍2”を拾って献立化
冷蔵庫は「見せる収納」ではなく回す収納。ラベルとトレーで“誰でも同じ場所に戻せる”状態を作り、前出し運用を習慣化すれば、重複購入と廃棄はぐっと減ります。まずは今日、一軍・二軍のトレーを1枚ずつ導入してみてください。明日から庫内の見え方が変わります。